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【開催報告】第4回SDGsオンラインセミナー

  • レポート

8月25日(金)にSDGsオンラインセミナー第4回「地域の企業から学ぶ脱炭素」を開催しました。

第4回「人が育てる土」は、
株式会社TOWINGの代表取締役 西田 宏平 様をお招きし、「宇宙と地球で、サステナブルな食料生産システムを実現する事業」についてお話いただきました。



今回のセミナーは宇宙のお話から始まります。宇宙で人が暮らすのは遠い未来のように感じますが、今現在、その研究は進められています。宇宙で農業をするのに必要なものは光、空気、水、養分になり、このうちの水、空気、光は月面で入手することが可能です。養分については無機質肥料の供給が難しい一方で有機質肥料は食品の非食部分などから生産することができます。しかし有機質肥料を植物が吸収するためには菌など微生物による分解が必要となるため、宇宙で農業をするためには微生物が住むことができるソイル(土壌)が必要になります。
株式会社TOWINGでは微生物が住みやすい表面がでこぼこのソイルを開発し、そこにどのような微生物が付けば農業に適した菌相になるか研究開発を行っているそうです。



ここから地球についてのお話になります。
日本では有機性廃棄物(家畜の排せつ物、食品廃棄物、農作物非食部残渣など)を焼却処分や埋め立て処分する事が多く、たくさんのCO2を排出しています。埋め立て処分では温室効果ガスであるメタンガスも発生してしまいます。そこで有機性廃棄物を有機質肥料として活用していこうという取組みが行われています。江戸時代では有機質肥料が主流に使われており、農業においてのサステナブルの形の一つだと言えます。しかし、有機質肥料は化学肥料に比べて生産性が落ちるので、率先して使用されにくい状況にあります。
ここで宇宙での農業に必要だった微生物のお話に繋がってきます。微生物を育てた畑なら有機質肥料でも高い生産性が見込めます。微生物が住みやすく、作物や場所によって最適な菌相を作っていく事が重要です。




株式会社TOWINGでは炭素が多い有機性廃棄物を炭化処理し、微生物を培養した炭を開発しました。炭化処理は焼却処分よりもCO2の放出が抑えられ、分解されにくい炭素となるため、炭素を固定することができます。この高機能バイオ炭を土壌に混ぜて使用すると、有機質肥料で高い生産性が得られる畑作りに通常5年ほどかかる期間を1カ月に短縮できるそうです。また、バイオマス排出企業のコスト低減にも繋げる事ができます。

私たちの生活から多量に排出される有機性廃棄物。それを処分するのではなく、有機質肥料を活用させる土づくりとして農家に使用してもらう取組みを今回のセミナーで学びました。野菜や果物を購入する際に、どのように栽培されている商品なのか考えてみるのも良いかもしれません。

西田 様、ご参加いただいた皆様ありがとうございました。
当日見逃した方、またもう一度ご覧になりたい方のために、アーカイブもなごや環境大学YouTubeチャンネルにて公開しております。ぜひ、ご覧ください。
https://youtu.be/As_7B4NUPbk