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【開催報告】衣食住からSDGs -日本の伝統編- 第1回 「着物から考えるSDGs」
2023年10月7日(土)、衣食住からSDGs -日本の伝統編- 第1回「着物から考えるSDGs」を講演とワークショップ形式で開催しました。
講演部分については、最初に「なごや環境大学」実行委員会事務局の環境教育コーディネーターから着物の魅力とSDGsとの関わりについて話をしました。
日本の伝統の一つである着物。直線裁ちの特性から、世代を超えたサイズ直しや染め替え等のリサイクル性があります。また、着物をつくるための糸や反物の染色や織りが日本の地域性や季節、自然と大いに関わりがあります。図柄には花鳥風月が取り入れられ、デザイン性が高く、職人の技術と相まって着物には味わい深い魅力があります。
着物は自然や地域との関わりが深い分、素材の入手や作り方等には近年の地球温暖化が少なからず影響しているようです。さらに近年の異常な暑さのせいで着物離れが進む等、需要の減少も懸念されています。着物も環境、そしてSDGsと関わりがあるのです。
その他、着物に携わる職人の後継者問題等、次世代につなぐ伝統としての課題が多いため、少しでも多くの人に着物の魅力を知ってもらい、そのためにどう自分が関われるかを考えてもらえたら・・・と思います。
着物の主な素材である絹は、国内の養蚕業の衰退により十分な供給が出来ている現状ではなく、農林水産省や経済産業省では、11月15日の「着物の日」を中心に着物や養蚕業推進のためのシンポジウムや有志職員が着物を着て仕事をする日を設けています。
そして、絹について。
富士凸版印刷株式会社 代表取締役 山本 登美恵様から「シルクで健康な身体づくり肌づくり -豊かな社会を未来に繋ぐ 循環型のウエルネス事業を目指す-」と題して養蚕とそこからできるシルクの可能性についてのお話をいただきました。
富士凸版印刷株式会社が養蚕の試験運用をしている場所は、岐阜県の里山公園内にある「かいこの家」。無農薬の桑しか食べない蚕。安全性が高い蚕が吐く絹はすでにあらゆる分野で利用されています。その場合、絹という名ではなく、「シルク」として呼ばれているようです。
では、シルクは具体的にどのように利用されているのでしょうか。
シルクは、アミノ酸組成要素が人のそれとほぼ一致しているため、再生医療素材として使われています。かつては手術に使う縫合糸としても使用されていたそうです。
また、最近では食べるシルクとしてのバウダー状のシルクの活用も進んでいるのだとか。蚕が無農薬の桑しか食べないということなので、安心して使うことができますね。
その他、化粧品も作られています。
このように、無農薬の桑の植樹(CO2の削減に貢献します)から桑の葉(お茶に利用できます)・蚕・シルクの生産は、安全性が高い素材のため、廃棄無し、すべて使い切れる商品として展開でき、地域で取り組めば、環境にやさしいエコな循環型経済の一つとして注目できます。
シルクの活用については、今後まだまだ思いもつかない展開がありそうですが、課題もあります。
養蚕業は国内では衰退しているため、蚕から絹を取り出すための道具の一部が製造中止となり入手しづらく貴重になっていること。大量に生産をする担い手、用地の不足等です。
今後、地域の耕作放棄地の活用も含め循環型経済事業として、富士凸版印刷株式会社のシルク事業部の方々は、シルクから始めるさまざまな事業展開を考えていらっしゃるようです。
同時に山本様は、各地で講演活動をされ、養蚕、シルクの魅力を発信していらっしゃいます。
講演の後はワークショップを行いました。
ワークショップのテーマは「―着物や絹に関わるプロジェクトを考えてみよう!― 描く未来から今の行動を考えよう!」
ワークショップというと「何だか難しいことを話し合うのかなぁ」と不安に思う人もいたようですが、実際には、皆さん和気あいあいとした雰囲気の中でアイデアを出し合ってくださいました。また、積極的に講師に質問や提案をしてくださいました。
最後にグループごとに話し合った内容を発表していただき、講師の山本様にも「こういうことが出来たらいいね!」をお伝えすることができました。
さらに各自が今日から行動できることもふせんに書いてもらい持ち帰ってもらいました。
山本様、ご参加くださった皆さん、ありがとうございました。
衣食住からSDGs -日本の伝統編-は第3回まであります。
興味のある方はぜひご参加ください!!
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