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【開催報告】第2回SDGsオンラインセミナー

  • レポート

6月21日にSDGsオンラインセミナー「地域企業が守り育てる生物多様性」を開催いたしました。

 第2回「未来を考えるコーヒー」は、マウンテンコーヒー株式会社 代表取締役 岩山 隆司 様をお招きし、自然環境や人々の生活を良い状態に保つことを目指して生産・流通しているコーヒー事業や農園での森林再生プロジェクトへの参画ついてお話ししていただきました。

 コーヒーは、私たちの生活のすぐそばにある身近な存在ですが、生物多様性とはどのような関係があるのでしょうか。

【そもそもコーヒーとは?】

 みなさんは、普段飲んでいるコーヒーがどのようにできて、どこから採れるのかを知っていますか。コーヒーは、アカネ科コフィア属の常緑樹である「コーヒーノキ」からできていて、この果実に含まれる種子が「コーヒー豆」と呼ばれています。コーヒーベルトという赤道付近の地域で栽培・生産されており、今や私たちの生活に欠かせません。コーヒーの主要な品種や生産地、コーヒーの栽培から収穫、選別、出荷までの工程を丁寧にお話ししていただきました。

【コーヒーのユニークな特徴と生物多様性の関係性】

 コーヒーは、下記のような4つの面白い特徴を持っていることで知られています。

 この4つの特徴から、コーヒーの生産地は生物多様性のホットスポット(危機エリア)と重複する地域が多くあり、コーヒーの生産も農地の開発などにより、生物多様性に大きく影響しているそうです。逆に言えば生物多様性を保全していくことが持続可能な生産につながります。

【マウンテンコーヒーが育む生物多様性】

 マウンテンコーヒーでは、2018年よりブラジル ダ・ラゴア農園とパートナープロジェクトをはじめ、パウ・ブラジルを含む在来種の植樹を行っています。パウ・ブラジルとはブラジルの国名の由来である樹木でしたが、250年余りで7%まで減ってしまいました。パウ・ブラジルは花が咲くまで30年~50年かかるため増やすのに長期の計画と実行が必要です。元々パウ・ブラジルが生えていたダ・ラゴア農園をはじめ、2024年度までにパウ・ブラジル70本含む、在来種の木々を5,500本植樹し、失われた森を蘇らせています。それだけでなくコーヒー栽培の閑散期に植樹をすることによって、雇用も生み出し人々の生活向上にも貢献しているそうです。

【コーヒーの2050年問題】

 “○○の20××年問題”という言葉を最近よく耳にするようになりました。コーヒーも無縁ではありません。世界のコーヒー豆生産量の6割を占めるアラビカ種の栽培に適した地域が2050年までに半減するというものです。セミナーではコーヒーの2050年問題として、①コーヒーの生産量の減少と品質の低下、②コーヒーの生産農家の離農と貧困、③コーヒーの価格高騰の3点が紹介されました。その原因は様々ですが、気候の変動など私たち人間活動も影響しています。近い将来、今まで当たり前に飲んでいた美味しいコーヒーが飲めなくなるかもしれません。そうならない為に、私たちも普段から二酸化炭素の排出を抑える努力をし、フェアトレードコーヒーなどの適正価格で取引されたコーヒーを選択するといったことを心がけていきたいですね。

 この他にも、伊勢志摩国立公園での里山再生プロジェクトについてもお話ししていただきました。森林問題は日本でも深刻で、林業の衰退や従事者の高齢化などが喫緊の課題となっています。マウンテンコーヒーは、炭焼き焙煎コーヒーを販売しておりますが、その炭も健全な里山が維持されているものに限ります。炭焼きはCO₂の排出量が少ないことに加え、里山管理で切り出した木材を使用して炭焼きをしています。そんな美味しい炭焼きコーヒーが飲めるのも、日本の林業に関わる方々のご尽力があるということを今回知ることができました。

この様に今回のセミナーでは、コーヒーから世界と日本の生物多様性のつながりを感じることができ、とても充実した時間となりました。

岩山様、ご参加いただいた皆様ありがとうございました。

当日見逃した方、またもう一度ご覧になりたい方のために、アーカイブもなごや環境大学YouTubeチャンネルにて公開しております。ぜひ、ご覧ください。

【皆さまから寄せられた質問の回答】(講座中に答えられなかった質問と回答)

Q1: マウンテンコーヒーのような生物多様性または地域社会に対して取り組まれている他のコーヒー会社はどのように探せば見つかりますか?

A :各社が公表している内容でしか知るすべが無いと思いますので、各社のHPなどをご覧頂くことしかわかりません。