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【開催報告】第3回SDGsオンラインセミナー

  • レポート

7月19日にSDGsオンラインセミナー「地域企業が守り育てる生物多様性」を開催いたしました。

第3回「建設業による自然環境配慮」は、株式会社加藤建設 経営企画室自然環境課 伴 拓哉 様をお招きし、工事現場で実施している環境への取組み「エコミーティング」や自社ビオトープの活用などについてお話ししていただきました。

建設業は、道路や電気関係、水道など人々の安心・安全・暮らしやすい街づくりのためになくてはならない存在です。その一方で開発行為により生きものの住処を奪ってしまったり、子ども達が自然と触れ合う機会を奪ってしまったりと、マイナスなイメージを持つ人も少なくはないかもしれません。

そんなマイナスのイメージを払拭するため、人と生きもの共生のため、加藤建設は独自に様々な活動に挑戦しています。

【エコミーティング】

 これからの時代は、人間だけでなく生きものも安心・安全に暮らせる共生社会を目指すというネイチャーポジティブな考え方が必要です。加藤建設は、その一環として「エコミーティング」という活動を行っています。エコミーティングは、加藤建設が独自につくった取組みで、工事現場で工事が始まる前に、自然環境課だけではなく、いろいろな部署の人たちが集まり、現場を視察します。その中で自然環境を大切にするにはどういった施工をしたら良いかなどアイデアを出し、形にするというとても素敵な活動です。しかしアイデアを出すには知識がないといけません。加藤建設では、ビオトープ管理士資格などで専門知識の習得や新入社員研修などを行い、自然に対する理解を深めています。一つの部署だけではなく、会社を挙げて自然環境のことを思いやる姿勢にとても感銘を受けました。

エコミーティングを経て、工事現場で独自の環境調査を行うことや希少生物の保護、外来種の駆除など、これまでに様々な取り組みが実現されています。中でも驚きだったのが、工期が長い現場で、「現場ビオトープ」を作成したという事例です。現場内の水路を活用して工事周辺の生きもの達が快適に暮らせるように工夫しています。現場ビオトープを作成したことにより、工事現場担当者もそこに生息する生きものに興味津々で、社員の意識向上にもつながったそうです。

【カトケンビオトープ】

加藤建設では、会社の敷地内にも独自にビオトープを維持管理しています。元々資材置き場だった場所を2016年から徐々にビオトープに転換し、生きもの達にとって近隣の緑地との新たなネットワーク拠点として環境を創出しました。主に森林エリア、草地エリア、水辺エリアの3つのエリアが存在し、今では蟹江町に昔から生息する魚類や昆虫類、それらを捕食する爬虫類や鳥類など多種多様な生きもの達が生息しているそうです。しかし、近年になり問題になっている「クビアカツヤカミキリ」などの外来種も棲みつき、まだまだ理想の状態にはなっていないそうです。

その他にもカトケンビオトープには大きな役割があり、工事現場で保護した希少な植物の生息域外保全や社内研修、環境教育の場としても有効に活用されています。なごや環境大学の共育講座でも毎年講座を開催してくれています。

【伝える取組み】

 加藤建設では、次世代を担う子ども達や同業者に対して、工事現場などで培った自然や生きものに関する知識を伝えるという取組みも行っています。先ほどのビオトープを活用した環境教育プログラムを構築し、子ども達に生きものと触れ合う機会の提供や学校への出前授業、環境イベントなどの出展を通して多くの方々に積極的に伝える取組みを行っているそうです。また、加藤建設のような取組みの輪が広がって欲しいと、愛知県建設業協会も巻き込んで同業者のみなさまにも伝えています。

本セミナーを聴いて、建設業=環境破壊のイメージが180度変わりました。自然と関わりが深い場所で仕事をする建設業だからこそできるネイチャーポジティブアクションはとても素敵な取組みであり、加藤建設のような活動がこれからもっと広がっていけば持続可能な社会、そして自然と共生する社会が実現できるのはないでしょうか。

伴様、ご参加いただいた皆様ありがとうございました。

当日見逃した方、またもう一度ご覧になりたい方のために、アーカイブもなごや環境大学YouTubeチャンネルにて公開しております。ぜひ、ご覧ください。