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 【開催報告】企業事例から学ぶ! サーキュラーエコノミー(循環経済)の動向  第4回:食×サーキュラーエコノミー          

2024年8月31日(土)

企業事例から学ぶ! サーキュラーエコノミー(循環経済)の動向

第4回:食×サーキュラーエコノミーをオンライン開催しました !!

この日は台風の影響により、会場での開催予定をオンライン開催に変更して行いました。

第4回講師には、公益財団法人 Save Earth Foundationの事務局長であり、ワタミ株式会社のSDGs推進本部の課長でいらっしゃる藤田 優弥氏をお招きし、東京からオンラインにてお話していただきました。

藤田さんが所属するSEF(セフ)(Save Earth Foundation)は、80社の会員企業とともに各地で食品リサイクル推進を中心とした「資源循環事業」と、森林の再生、保全・活用を推進する「森林再生事業」を中心に活動されています。

2020年からは、あいち海上の森と企業等連携事業の協定を締結し、森林保全活動の他、環境教育も行っています。

また、藤田さんが勤めるワタミ株式会社は、食品産業に関わる会社です。

そこで今回は、食品廃棄ゼロを目指す企業の取組みとして、食の資源循環をメインに、そして食に関わるプラスチック容器包装リサイクルも含めお話していただきました。

はじめに食品ロスについて。これは、未利用食品の廃棄(食べられるのに捨てられている食品)のこと。

食品廃棄物とは異なります。食品廃棄物は、人が食べられない食品です。例えば、食品製造・加工の過程で廃棄される食品残さや腐敗など傷んでしまった食品、期限切れ商品等になります。

こうした言葉の違いを丁寧に解説しながらお話を進めてくださいました。

環境省によれば、食品ロスの発生量の推計値(令和3年度)は約523万トンです。その量の内訳は、事業から出るもの、家庭から出るもので約1:1の割合です。そうした中で、家庭から捨てられる食料は一人当たり、そして一日あたりの量で換算するとほぼおにぎり一個分なのだとか。

「日本人全員が毎日おむすび一個を捨てる計算になる」と藤田さんは身近な例えで数字を示しながら私たちが出す食品ロスを意識づけてくださいました。

農林水産省のデータによれば、日本の食料自給率はここ数年約38%と横ばいです。飼料の自給率はさらに低く26%程度になっています。貴重な食料。一人ひとりが食の消費について気をつけていきたいですね。

では次に、食品廃棄物についてみていきましょう。それはどこで多く発生しているのでしょうか。

その発生場所は食品製造業が一番多く、次に一般家庭が多いとのことです。

2001年に施行された食品リサイクル法でも食品廃棄物の発生抑制に努めるとともに、それでも出てしまう食品廃棄物は再生利用をしようと定めているようです。

食品リサイクル法では、再生利用事業計画、いわゆる食品リサイクルループの認定制度があり、認定された事業者の連携により、食の資源循環が推進されています。

食品リサイクルループは、排出事業者から出る食品残さをリサイクラー(資源再生事業者)で肥料や飼料にし、その肥料や飼料を使った農畜産業者で生産された農畜産物を排出事業者が食品残さの排出量に応じて買い取り、再び消費者に提供するという食の資源循環モデルの一つといえます。

排出事業者とリサイクラーと農畜産業者の3者が役割と責任を果たすことで持続することができるとのことです。

お話の中では、ワタミ株式会社の店舗での具体的な取組みも写真付きでご紹介くださいました。

一社だけの取組みではなく、何社かで協働することで、効率のいい収集運搬と資源となる量の確保が可能になるため、今後参画する企業が増えていくことが期待されます。

また、こうした仕組みには、柔軟な助成金制度等の行政の支援もかかせません。官民一体となったリサイクルループの拡充、そして消費する個人も食品残さの減少に貢献することで、食の資源循環を発展させていきたいですね。

他にも食品を入れるプラスティック容器の回収・再資源化となる容器包装リサイクルループにも同社は力を入れています。

2030年に向けた同社の取組みや業界全体の取組みへの思いは、「美しい地球を美しいままに、子ども達に残していく」という藤田さんの最後のスライドにあった言葉に表現されているようで印象に残りました。

今地球に暮らす私たちの行動次第で、これからの未来がどうにでも変化することを忘れずに暮らしていきたいと思いました。

オンラインチャットでのいくつかの質問にも丁寧にお応えいただき、無事講座は終了しました。

藤田様、ありがとうございました。

また、オンライン開催というイレギュラーな開催にもかかわらずご参加くださった皆さま、ありがとうございました。

全4回シリーズで開催した「企業事例から学ぶ! サーキュラーエコノミー(循環経済)の動向」はこれでおしまいです。

ご講演くださった講師の方々、ご参加くださった皆さまに改めてお礼申し上げます。

この企画が、サーキュラーエコノミー、環境問題に注目するきっかけ、また、ご自身の行動に変化が生まれるきっかけとなれば幸いです。


なごや環境大学は、2025年3月に開学20周年を迎えます!

これからも環境啓発に向けたさまざまな活動を進めてまいりますのでどうぞご期待ください!!